プロットの作成する前に、いきなりあらすじを紙やパソコン上の小説ツールに書き出して始めても、実はなかなか進むものではありません。物語の骨格を構成していく作業では、都度考えながらつぎ足して断続的に組み立てるよりも、物語を自然に進行させていく方法があります。
そのあとに少しずつ文章の肉付け、装飾をしていくプロットへの作成に進んでいきますが、ここではあらすじを円滑に組み立てるための方法とその流れに触れていきます。
あらすじの構成のしかた
まず、どんな内容の小説を書くのか、テーマ、方向性をはじめの段階で決めておきましょう。それには過去の次の記事を参考にしてください。
小説のタイトルとテーマについて~独自性のある表現方法を確立する~
それが決まったら物語に登場する人物を設定し、場面などをイメージする作業をしていきます。
1.登場人物を抽出する
その都度自力でひとり一人の人物を想像しながら描いてかたちづくるよりも、物語に登場する人物をはじめに選出します。イメージしやすくしていくために、ここでは日頃、生活上で気になる人物などを整理してみます。
1⃣ たとえば、「毎日通勤上で電車で出会う人」、「ふと見かけたときに特徴的だと思った人」、「店で責任者にクレームをつけている人」など、過去に遭遇した、あるいは知っている特徴的な人物を思い出してください。
2⃣ ここでは、実在の人物を思い浮かべるようにします。あくまでも日頃、自身で接していたり、新たに創造した人物を頭の中で選抜します。
3⃣ 上記で厳選した人物をシートにして整理します。細かな設定はまだ不要です。男女の比率もアンバランスにならないように6:4ぐらいがちょうどよいと思います。男女別、見た目の特徴を想定する程度にしておきます。
4⃣ 想定する人数は短編で10名、中編で20名、長編で25名以上を目安に選び出してください。
世の中には多様な人がいますので、登場させたいと思った人物を選び、そこで人間性を自由に付加させることができれば、これからの具体的な物語がイメージしやすくなります。
気を付けなければならないのは、実在の人物でもインターネット上の映像や写真などは絶対に利用しないことです。肖像権などの侵害に発展するような素材の利用は厳禁です。写真などを当事者に断りもなくネット上に挙げたりすることもしないでください。あとからトラブルへ発展しないように、あくまでも自分の創造の域でイメージを湧かせるようにしてください。
どの人物がどんな行動を取り、どう話を展開させていくのかは、今の段階では気にする必要はありません。
2.キャラクターを整理する
人物創造に目途がついたら、それらを一旦、次の表にまとめましょう。まずこの段階では、人数分人物の「第一印象」、「性格(おおまかでよい)」に目星を付けておくだけで結構です。
「名前」、「身なり」、「性格の位置付け」、「職業」、「主人公との詳細」などの細かい設定は先の段階で自然に形づくっていきますので、この段階では設定ましません。
| 人物 | 第一印象 | 性格(おおまかに) | 性別・その他 |
| A | しっかり者 | 芯が強く、冷静 | 男・主人公向き |
| B | おせっかい | 明るくよく気づく | 女 |
| C | 大胆不敵 | 破天荒だが判断が甘い | 男・友人 |
| D | 抜け目がない | (空欄) | 男 |
| E | (空欄) | マメで世話好き | 女・70代 |
……(抽出した人数分を設定する)
3.時間をかけて脳内に焼き付ける
登場人物がまとまったら、そのシートは時間のある限り眺めるようにしてください。そして後からさらにイメージできる容姿やクセなどは「第一印象」と「性格」に書き加えていきましょう。これらの人物は少しずつ脳内に焼き付けて、思い浮かべられるようにします。
4.自由にイメージングをする
自分で決めた人物で物語を書くのだと認識してしばらくそのままにしておくと、やがて各人物は不思議と勝手気ままに頭の中で動き始めます。彼らは放っておいても、あなたの顕在意識とは別にさまざまな行動を起こすのです。ただし、潜在意識だけに頼るだけでは不十分ですので、時々意図的に起こさせたい行動のイマジネーションを加えるようにしてください。
本来の豊かな拡がりをみせるイマジネーションを時間で終らせてしまったり、制限するようなことはしないほうがいいです。アイデアの創造を仕事とする作家として、イマジネーションを自由に膨らませてください。
あらすじはイマジネーションを積み重ねてつなぐ
更にイメージングを深めていくと人間の想像力とは素晴らしいもので、潜在意識上で作家の意識とは別に、各人物は思いもよらずに行動を起こしながら物語は進展をしていきます。不鮮明な箇所は小説家自身が意識してイメージをめぐらしながら、物語をつなげていきます。
しばらくはその展開を見守るだけです。あわてる必要はありません。ここは充分な時間をかけていくことで、イマジネーションは徐々に様々な展開へと熟成しながら進展していくはずです。
おそらく、二、三日ではこの作業を完結することありません。彼らの動きは行き詰まりがありながらも、またどんどんと展開していきます。結びにたどり着く時間は一概ではありませんが、人によって二週間から一か月くらいとみておいてください。
時々、はじめに設定した人物がイメージングによってうまく行動ができず、ストーリーのなかで馴染んでこないことがあります。放っておくと、物語は意としない方向へ進展しまうことがあります。
できるだけイマジネーションを思いのままに働かせて、多彩なストーリーの流れをイメージしていきます。必要であれば、ノートやメモ機能にポイントを記録しておいても結構です。
まだ細かな設定をする前ですから、話が自然に流れていることが大切です。要所要所で誰がどんな行動を起こし、何が起こったかの場面の積み重ねができていれば問題はありません。途中で断念をせずに話の終わるところまでイメージをつかむ作業を続け、物語を必ず完結させましょう。
👉例:恋愛小説(短編) タイトル『循環する恋』
心理カウンセラーのA ある日、女性の相談者Bが訪れ、自分の悩みを打ち明ける ➡ 中学生時代のある男性のことがいつまでも忘れることができない。今から本人を捜すのは難しいが、心のモヤモヤを拭い早く心を落ちつけたい ➡ 名前を聞き、当時の話を聞いていくと、どうも自分の大学での親友(人物C)がその当事者であることに気が付いた ➡ AはCに久しぶりに会い、詳細を話す
CはBのことは記憶にあったが、妻子もあり現実は難しいことを告げる ➡ Cの妻Ⅾは話の流れからBの知り合いであることが発覚 ➡ Aは心理カウンセラーという立場からの精神を安定させるために助言はしたが、事実を伝えるかどうかは迷っている
Aは相談者Bのもとへ訪れ、現実の実態を正直に伝える ➡ Bは現実を知り、絶望を味わい、過去を忘れる意味でしばらく見知らぬ町で身をひそめる決心をする ➡ Bは旅先で偶然にもⅮにふられた農場経営者Eに知り合い、深い仲に発展する ➡ Bの行動はAにアドバイスされた結果のことだった ➡ Aの心理カウンセラーが噂が噂を呼び恋愛カウンセラーの第一人者としてこれからも活躍する
(この流れをAが一人称で語る形式にする)
イメージングが話の最後まで終わったら、上記のように断片をつなぎ合わせ、物語の流れの骨格をまとめて文章にします。違和感や不自然なところはこの段階で修正を重ねておいてください。

この作業は潜在意識によって、話が無秩序に自然に流れていくこともあります。自分の創造したい物語が登場人物の行動、場面に違和感や不自然な状況が生じないように、顕在意識によって、意識的に調整をしてイメージングを進めるようにしています。
【補足】AIを活用することについて
近年は小説を書く場合においてもAIを参考にして、多少の割合で本文に組み込む小説家も出てきました。ChatGPTへ質問をして、その回答を採用することは、否定するものではありません。我々の未知の分野に対する情報を知る場合にはとても有効ですし、参考になるのは事実です。
かと言って、すべてAIに任せた内容のものを自分の小説だと称するのも、自分の創作としてどうなのかという問題にもなってきます。ChatGPTを利用する場合には、ごく一部に引用する活用のしかたをしていきましょう。そして複数回利用するなどして修正を重ねながら独自の作品にしていってください。
AIの活用のしかたによっては、いろいろな工夫をすることでよい効果が得られます。ぜひ自分なりの研究を重ねてみてください。

ほとんど、自分でアイデアを出して書いていく性分なのですが、2,3千文字くらいの短編を書く時に想定していたタイトルで、ChatGPTへ質問し、できあがった小説を参考にすることはよくあります。
また、ごく一部分でアイデアがうまく思い浮かばずに、はめ込みができなかった場合は、ChatGPTに助けを借りることがあります。ただし、機械的に造られた文章ですから、味わいに欠けたりすることがありますので、文脈は変えずに表現を自分の言葉に置き換えて活用するようにしています。
まとめ
はじめの人物やストーリーの設定のしかたに悩む方々が多いと思いますが、頭で考えるよりも潜在意識下のもとで、想定した人物が自由な動きを利用するのがとても効率的です。
1⃣ 身近な関心のある人物を選出する
2⃣ それぞれの人物の印象、おおまかな性格などをざっくりと記憶(あるいはメモ)し、シートにして整理する
3⃣ 時間をかけて頭の中で人物全員を自由に行動させる
➡プロット作成へ
この方法でストーリーづくりを進められれば、あとは執筆でそれほど苦労することはありません。イメージングをする時間は余裕を持って行うことをお勧めします。この作業パターンに慣れれば、あとあと楽になりますので、ぜひ実践してみてください。


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