プロ作家志望のわたしが実践した「プロット完成後に迷わず本文を書き切るコツと体験談」

本文を書く

初めて長編小説のプロットを完成させたとき、達成感と同時に「ここからが本番だ」と身が引き締まる思いがしました。しかし、いざ本文を書き始めると手が止まってしまう――そんな経験を何度も繰り返してきました。

この記事では、わたし自身が実際にぶつかった課題や、執筆に行き詰ったときに乗り越えた具体的な工夫を交えて、「プロット完成後にスムーズに本文を書き始めるコツ」をお伝えします。小説の執筆に悩む方のヒントになれば幸いです。

プロット完成後にわたしが実践した「書き始めの思考法」5選

1. 「最初の一文」に時間をかけすぎない

わたしは冒頭の一文に何時間も悩み、一文字も進まなかったことが何度かありました。しかし、あるきっかけを得てからは、最初の一文はこだわりすぎずに仮の文で書き始め、駄文でも気にせず先に進めるようになりました。

終わりに近づくと物語の全体像が見えてくるので、その段階で冒頭に戻って何度も書き直すようにしています。書き進めるうちに冒頭文のアイデアも浮かぶようになりました。そのタイミングで調整すると、いい冒頭文が書けることが多いです。

あまり考えすぎて、冒頭文に時間をかけないこと。あとで、アイデアが浮んだときに修正を加えるほうが効率的。
半蔵
半蔵

冒頭文や途中の文章に納得がいかなくてもそのまま修正をかけずに、できるだけその先の文章を執筆していくことに神経を集中させています。あとから浮かぶアイデアは意外に採用できるものが生まれることを意識してください。

2. 書く順番にとらわれない

物語の印象的なシーンが思い浮んだときは、順番にこだわらず、書きたい場面から書き始めましょう。後で全体の流れに合わせて並べ替えれば問題はありません。テンションの高いシーンから書くと、筆が止まりにくくなります。わたし自身は物語の全体の構造がプロットによって確立されていれば順番は関係なく、書きやすい場面から選んで書いています。今、書きたいものがあれば、その気持ちを優先させることは非常に大切な行動です。

今、一番書きたい場面で書けそうなことから優先して書く。

すでに登場人物を設定している場合は、しばらくするとその人物が自然に、そして自由に頭のなかで動き回ります。わたしはその自然に流れる動きを大切にし、できるだけ詳細に捉えて描写するようにしています。自分の想定していなかった登場人物の行動は、リアリティな展開に還元できる貴重な材料になりました。

3. プロットから外れても気にしない

登場人物の自然な行動や新たなアイデアが生まれたときは、わたしはプロットどおりに書くことにこだわらず、柔軟にプロットの見直しをしています。プロットは目的地にたどり着くまでの地図のようなものなので、寄り道や変更が物語に深みを与えることは間違いありません。

最初に作成したプロットよりも、良い流れが生まれたときには、採用してプロットを見直す。

プロットに忠実に書くよりも、新たにお気に入りのアイデアと入れ替えて書くケースがわたしも本当に少なくありません。書き直しを重ねて仕上げていくことで、本質的にも磨きがかかった作品になっていくはずです。

4. モチベーションの波や執筆の習慣について

何度もわたしも「今日は全く書く気がしない……」という日が重なったことがあります。そのようなときは無理をせず、逆に調子が良い日は一気に書き進めるようにしています。また、自分なりの「各時間帯のルーティン」を作り、その毎日の執筆の習慣は自然と身に付いていきました。

初め、“ 朝のカフェで30分だけ書く ” という小さな習慣を週6日で続けてみたのですが、それがやがて大きな積み重ねとなり、概ね90分まで拡大させて、今では一日の大切な時間となっています。

やる気のある日は多めに、そうでない日は無理をせずできる範囲で書くなど、自分のペースで継続させることが大切です。日によってペースが違うのは自然なことなので、そのような時は自分を責めずに続けましょう。執筆時間や作業量の目安を決めて継続していくと、習慣化しやすくなります。

日によってスケジュールや気分・体調に合わせた作業をする。

別に本業をしながら小説を書く方もいらっしゃると思いますので、執筆時間の取り方については、

小説を書くことに集中するための最適な時間管理術~おすすめの時間帯と作業量の紹介~

をご参照ください。わたしは先にもご紹介しましたが、平日は日中に別の仕事をしているため、仕事の最も頭の冴えている時間帯、朝7時から8時30分の間にカフェで集中的に執筆をしています。その後に日中の仕事を終えて、自宅に帰宅する前に18時から19時の間の1時間執筆をします。

帰宅後は食事・入浴等を済ませ、リラックスできる時間にしています。夜は頭が冴えないため一切行わず、睡眠の時間を充分に確保する気遣いは怠りません。翌日はまたスッキリとした頭で執筆に臨むようにしています。

5. 周囲の誘惑を減らす

スマートフォンの通知やSNSの誘惑で集中する時間が途切れることが多かったので、わたしは自宅での執筆中はスマートフォンは別室に、カフェでは荷物のなかにしまっておくようにしています。また、パソコンも「執筆専用アカウント」などに切り替えるのも一つの方法です。

今や生活に必須のスマートフォンに入る各通知やSNS情報を気にしたり、あるいはテレビやラジオを流しながらなど、個人によって執筆の環境はさまざまだと思います。集中力をアップさせたい時は、妨げになっているものがあると自己判断し、思い切ってそれらを遠ざける工夫も有効です。

執筆の邪魔になっている物があると感じた時は遠ざけたり、一時的に断ち切るのも作業効率向上のひとつになる。

👉参考1:

●「25分集中+5分休憩」のポモドーロ法の採用

ポモドーロ法とは、作業や勉強の時間を25分ごとに区切り、5分間の休憩を挟んで集中力を維持し、効率よく作業を進める時間管理法を言います。イタリアの起業家フランチェスコ・シリロ氏が考案したもので、ポモドーロはイタリア語でトマトを意味し、シリロ氏がトマト型のキッチンタイマーを使用して時間を測っていたことに由来します。
具体的な手順は以下の通りです:

1 25分間の作業: この間、集中して作業を進める

2 5分間の休憩:   目を休ませたり、軽いストレッチなどをしたりしてリフレッシュする

3 繰り返し:        続けて25分間作業し、5分間休憩を繰り返す

4 長めの休憩:     4回のポモドーロ(約2時間)ごとに、30分程度の長めの休憩を挟む

小説を書き始めた当初、執筆に集中できない日が続いたため、インターネットで偶然知った「25分集中+5分休憩」のポモドーロ法を試すようになりました。25分ごとに時間を区切るのは面倒に思いましたが、実際に他の誘惑を排除して取り組むと、想像以上に集中できるようになりました。
カフェで執筆しているときは、聞こえてくる音楽や話し声は気にならなくなりました。短時間でも作業が捗る効果を感じ大きな成果だったと思います。そしてもう少し長時間の執筆の時間を取りたいと感じるようになり、ポモドーロ法よりも長く時間を取る次の時間管理も試してみました。
👉参考2:  
52/17ルール
52/17ルールとは、52分間作業し、17分休憩するとうい時間管理の手法です。これは、ポモドーロテクニック(25分作業、5分休憩)よりも長い作業時間と休憩時間を組み合わせており、集中力を維持しやすく、深い集中状態に入りやすいというメリットがあります。
1 集中力の維持: 長い作業時間と休憩時間で、より集中力を維持し深い集中状態を作り出す
2 効率的な作業: 疲れを感じる前に休憩を挟み、集中力を維持したまま作業を続けられる
3 タスクの理解: 長い作業時間によりタスクを深く理解し、問題に取り組むことができる

1 作業時間: 52分間、集中してタスクに取り組む

2 休憩時間: 17分間、休憩を取る

3 繰り返し: このサイクルを繰り返す

1 個人の体調やタスクの難易度に合わせて、調整しながら実施する

2 休憩時間は体を動かす、リラックスするなどリフレッシュして過ごす

この52/17ルールは、さらにわたしの感覚にフィットし、効率よく机に向える手助けとなりました。さらに、自分に最適な集中力の持続できる時間はいろいろと試してみると、概ね「60分集中+15分休憩」が自分に最も適していることがわかりました。いろいろと試してみて、それぞれに合った集中法を見つけて実践するようにしてください。

👉参考3:

執筆専用の環境(アプリや場所)を整える

自分に見合った執筆環境を用意することは大切なことだと思います。作業が進めやすい机・椅子や、使いやすいパソコン・ツールやアプリなどを次のブログでご紹介しています。

小説の創作をサポートするパソコンと最適なツール、アプリ一覧

をご確認いただいて、専用の環境を準備しましょう。

半蔵
半蔵

パソコンで創作するときは、出版者とのやりとりの都合もあるため、使い慣れたWordで書いています。短編を書くときにはスマートフォンを使っていて、Googleドキュメントに替えてから作業効率が各段にアップしています。これは電車の中や時間のあるときに手軽に使えるのでとても便利です。

 

もちろんパソコンとの共有が簡単にできますし、フォント・文字サイズ・文字装飾などの最低限の処理が可能なのでとても便利です。シンプルで効率的ですね。

本文執筆を継続するための「具体的な行動と体験談」5つ

「よし、プロットができた! 次は本文だ!」
そう思っても、いざ書き始めると筆が重く、最初の1ページに悩んでしまったりする方も多いのではないでしょうか。

小説の本文を書く局面において、設計図(プロット)を現実の文章に「立ち上げる」ことはとても大切なプロセスなります。以下、わたし自身もプロットの完成後に執筆に悩み、そして解決につなげた、スムーズに本文を書き始める際の役立つヒントを5項目に分けてご紹介します。

1. 最初から完璧を目指す必要はない

まだ書き始めて間もない頃のわたしは、「最初から完璧な文章を書いていく」思い込みをしていました。最初の冒頭文からまったく書けずに何日も悩んでいたのです。ある小説指南書に眼を通していた時に、「とにかく最後まで書き切る」というポイントになる文が鮮烈に胸に刺さったので実行に移しました。

書き上げた後は何度も推敲を重ねているうちに、その段階で表現の修正が効果的にできることに気づき、執筆のハードルが一気に下がりました。今では、初稿は「下書き」ベースでいくものと割り切り、誤字や稚拙な表現も気にせずにどんどん書き進めています。

現在は初稿は「素材作り」と割り切るようになってから、書き始めは気を楽にして書けるようになりました。実際、初稿は誤字や脱字だらけで、表現も稚拙なところがありますが、推敲で何度も書き直し磨き上げていきます。「まずは最後まで書き切る」ことは最重要事項であると実感しています。

書き始めて、文章が気に入らない場合は推敲の段階で書き直す。先を書き進めて最後まで書き切ることを優先させ、書き切って作品の完成に対し自信を持つことが大切。

わたしは初めに書いた文章が冒頭文であろうと、途中の文であろうと第一印象で気に入らない表現でも構わず先へと書き進めます。あとで推敲は少なくとも3回はしますので、途中でさかのぼって見直しすることはしていません。

途中で止まって今まで書いた原稿を振り返ることは、非常に時間のロスです。書いて見直し、また書いて見直しする作業は、書き上がる時間が数倍かかりますので、時間を無駄にしないためにもこの鉄則は守って執筆しています。

2. 一日の「作業目標」を決めておく

先にも述べましたが、わたしの場合は平日は本業があるため、朝7時からカフェで1時間30分、帰宅前の夕方にもう1時間の執筆時間を確保しています。「毎日最低1,000字を書く」という目標を立てて実行に移しました。つらかった時もありましたが忙しい日でも時間を取って何とか継続し、小さな達成感を得られるようになりました。今では実際に1か月で原稿用紙換算で100枚分以上を書き上げることもあり、積み重ねることの重要性を実感しています。

自分なりの「一日の執筆文字数」「場面の一区切り」などを設定して目標にすると、ペースが維持できて迷うこともなくなります。

👉例:

●1日500文字でもOK(小さく積み重ね、コツコツ続けることが大切)

●「今日中にこの会話シーンを終わらせる」と場面ごとに区切る

自身で一日に執筆できる量を把握しておく。無理なくそのペースを維持して少しずつ積み重ねる。

だいたい1時間で500字くらいがわたしの場合のペースです。ペースは速いほうではありません。一日1時間しかできないこともあれば、通常の仕事がないときですと、4~5時間くらい執筆します。最低の文字数の1,000文字はできるだを維持するようにし、最大で2,000字から2,500字くらいの文字量を執筆しています。

一日の量は多く書ければそれに越したことはありませんが、少なくても問題ありません。一歩一歩着実に書き進めて必ず最後まで書き切るほうが何よりも大切です。途中でやめてしまうのは、いろいろな原因があると思いますが、非常にもったいないことです。書き進められない課題をなんとか克服し、推敲まで終えるようにしましょう。

3. 書く前に「今日のシーンの目的」を整理する

わたしは毎朝、ノートに「今日書くシーンで主人公をどう変化させるか」を一言メモして、それから執筆を始めます。このひと手間で、途中で迷子になることが激減しました。プロットからさらに具体的に詳細を本文に入れ込むわけですから、途中での行き詰まりの防止にもなります。

頭の中で書くべきことを整理しておいてから書き始めるだけでも、進み具合が違ってきます。

書き始める前に、方向性として今日はどんな展開にしたいのかを具体的に抜き出してメモしておくと、スムーズな執筆ができる。

👉例:

●今まで冷静沈着な行動をしてきた主人公に、道端ですべりやすいものを踏みつけさせる。その途端、足を取られて転がり道行く人たちの笑いものにさせるとともに、大怪我を負わせる。⇦ 不運な恥辱を与える

●国内の首都圏において大きな竜巻が発生し、○○市街一帯に災害をもたらせる。この結果を受けて、政府が災害対策本部を設置し自衛隊を派遣するが、動きは遅く被害を受けた市民にとって不安と葛藤が続く。⇦ 自然災害の怖ろしさを描く

●仕事の同僚、上司との度重なる意見の食い違いや感情のすれ違いが生じ、精神が不安定に陥いってしまう。⇦ 社会と生活の歪みとなる原因をあぶり出す

個別に考えていくと、いろいろな場面を書くことができますが、主人公に試練を与え障害を克服することを目的とするストーリーが多く見られます。また、わたしは小説の目的として、「社会の課題の解決」、「生活に役立つ情報」といった読んで有益になる流れを作ることに努めています。

半蔵
半蔵

ストーリーには必ず荒波や至福のひとときなどを盛り込み、平坦にならないよう工夫を凝らすようにしています。前述のように、読者にとって役立つ内容にしていくことを意識するようになりました。

 

基本的に音楽にまつわる物語を書いていますが、今まで「芸術を楽しむ悦び」「SNSの有効活用」「食生活による健康増進」「投資の手法」といったテーマなどでも書いてきました。皆さんも独自性を持ちつつ、読者に有益な小説を書くようにしましょう。

4. 説明より「感情と動き」を意識する

本文では直接的な表現や情報を並べるよりも、キャラクターの感情や行動を通じて読者にその場面を伝えるほうが、読者も状況がつかみやすくなります。

例えば、「彼は怒っていた」と書くよりも、「彼の拳が小刻みに震えていた」とするように意識しるのです。自分が感情移入できる表現を心がけて、読者からも「臨場感」があると感想をもらったことがあります。

文章上の感情と行動を重視した表現・描写に努めることで、読者はストーリーへの理解を深めることができる。

わたしは作家の菊池寛の短編小説の数編を熟読していたのですが、彼の小説は人物の感情表現が豊かなことに気が付きました。読めばその表情や気持ちが目に浮かんでくるようで、物語そのものが活き活きと映えているように感じたのです。

以後はこの作家の書き方をたびたび模範とするようになり、できるだけ事実の描写を人物の感情に転換して表現するようになりました。

もし、愛読している作家の小説などがあれば、自身の気にいる利点を見つけてよい面は見倣うとよいでしょう。

5. 書いたあとの自分を褒める

わたしはたとえ一行しか書けなかったとしても、自分をねぎらいご褒美を用意するようにしています。また作品が一つ仕上がったときは、自分に「よくやった。お疲れさまでした」と投げかけ、そして自分へのご褒美として家族で美味しいものを食べに行ったり、日帰りの小旅行に出掛けて気分転換を図っています。

他人と自分を比較することはせずに、ありのままの自分を肯定し、自分自身を尊重すると、自分の価値を認められるようになり、自己への信頼感が得られる。

自己肯定感を高めることで、前向きに執筆を続けられます。小さな前進でも少しずつ前へ進んでいることに感謝し、次の日も前向きに執筆に向かう気持ちを持つことが大切です。

前向きな自己肯定感が維持できると、筆も自然に進むようになります。自分に自信がなくなったり、ネガティブな状態では進むものも進まなくなりますので、常に前向きに取り組む思考を持つようにしましょう。

まとめ:執筆の「最初の一歩」は、自分のペースで大丈夫

プロットが完成して、いざ本文を書く段階こそ、本当の「書く愉しさ」と「筆が動かない不安」が同時に到来する時期です。ですがそれは創作活動に対し本気で向き合っていることの証ですから、自分のペースで一文ずつ積み重ねていくことに大きな意味を見い出せるはずです。

わたしも何度も「もう無理かも」と思う毎日が続きました、その苦痛の先では、頑張って積み重ねてきたことが形になって成果につながり、今では「続けてきて良かった」と思っています。たとえ1行でも書ければそれは前進ですから、そんな日であっても自分を褒めて次の日もまた机に向かう――その繰り返しが、気づかないうちに長編小説を書き上げる成長力につながっていたのです。

もしも今、筆が止まっている方がいたら、「自分のペースを維持して、継続することで絶対に大丈夫」と伝えたいです。この記事が、同じように悩む方の背中を押すきっかけになれば嬉しく思います。あなたの物語は、あなたにしか書けません。とにもかくにも自分のペースで一歩ずつ進めていきましょう。

そうして紡がれていくあなたの物語は読者の心に深く届き、知恵と勇気を与える価値ある作品に仕上がることと思います。

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