多様な一日の生活のなかで、どの時間帯で小説を書くのがよいのか? 個人的な生活環境はまちまちであり、忙しい方もあれば、時間に余裕のある方もいます。様々な状況に置かれているなかで、皆さんの環境に合わせた時間管理の方法(執筆時間帯と一日の執筆時間)についてお話しします。
小説を書くための最適な時間帯は“朝”と“夜”
小説を書くのは、人それぞれ生活のバイオリズムや繁忙度により異なりますから、それに係る時間数や時間帯が当然異ってきます。本業の勤めのかたわらで、また家事と並行して、あるいは副業をしながら小説を書いている方もいることでしょう。
小説を書くときには、ひとそれぞれの生活習慣が大きく影響することは、上記の導入で述べたところですが、日頃、仕事をしている方と、家にいて比較的時間のある方では、進め方が違ってきます。そうした環境の中で、朝に頭がスッキリしていて書くことができるタイプと、夜に作業がはかどるタイプの二つに大きく分かれます。
朝型の方の時間帯に得られる創作の力
起床したあとは脳の状態がとても一般的には良好で、スッキリとした気持ちでいられます。朝に目覚めのよい方は朝食の前に一定の時間を決めて机に向かって書くか、起床後、朝食をとってから始めてもよいです。
ようするに、頭が冴えている時間帯に書くということは重要です。作業中はストーリーの流れや場面、人物の描写と様々な思考をめぐらすことになりますので、目標に向かうための原動力が高い時間を活用しない手はありません。
朝型の方は起床後は書く速度も早まったり、お気に入りのアイデアも浮かんだりするものです。寝て起きた時間帯、すなわち午前中の時間帯は最高の集中できてはかどりやすい時間帯です。1時間あるいは2時間とそれぞれ時間を決めて、休憩をはさみながら集中して書くようにしてください。
午前中で動ける時間を有効に活用して、午後は他の仕事の用件や私用、買い物等を済ませるのが理想的です。効率のよい時間帯を無駄にせずに有効に使い、作品が書くことによって生まていく喜びを感じることができます。
夜型作家の執筆が成功する書き方
夜に作業意欲の湧く夜型の方は、朝では頭脳がうまく働かないようであれば、やはり夜のやる気になれる時間に書くべきです。特に日中仕事をしていらっしゃる方は、夜に時間を決めて書く方も多いです。ただ、日中の仕事で時間外勤務をしたり、仕事に疲れて何もする気が起こらないというケースも出てくることもでてきます。
そんなときは決して無理をしないでください。身体を壊してしまっては何もできなくなります。一日の生活のリズムを崩さない工夫が必要になってきますので、健康管理には十分気を使い、無理のない範囲で作業できる時間を確保するようにしましょう。
夜に書く場合は、夕食、入浴後に机に向かうようになるかと思いますが、翌朝の仕事や体調に支障をきたすことない配慮は必要となってきます。基本的には毎日の作業になりますので、無理をして深夜に及ぶ執筆作業は健康を害する原因となります。
例えば、「夜の9時から始めて11時までの2時間とする」というように時間を決めて執筆するのがよいです。様々な体調の要因によって、集中できないようなことがあれば、何度も言いますが決して無理はしないことです。体調不良時に無理をすると、そのあとにさらに悪化したりすることによって、数日を無駄にしてしまうことはよくありません。
それだけで、執筆時間が物足りないということでしたら、仕事の方は通勤時間を利用してスマートフォンで執筆したり、仕事から帰ってきて少し仮眠をして夜の作業を効率よく行う方法なども取り入れてみてください。
今は朝8時45分から夕方5時まで仕事をしているのですが、書くことにかける時間は工夫をするようにしています。完全な朝型のため、仕事先の近くのCafeで朝7時から1時間30分程度、また仕事を終えてから自宅の近くのCafeで夕方6時15分ごろから1時間ほど書いています。
一日の効率的な作業時間の確保のしかた
人間が集中できる時間はそれほど長いことはなく、平均で50分程度と言われています。そのなかでも15分おきの高低の周期があるそうで、その状況下で人は仕事や趣味などの活動をしていることになります。もちろん人によって時間の差はでてきます。
ある調査によれば、専業小説家の一日の執筆時間は平均して4時間程度ということが言われています。
執筆モデルの例1:専業の場合
また、午後に昼寝をすると、夜に就寝するだけの睡眠生活にくらべ、各段の作業効率がアップします。健康にもよいため、厚生労働省も昼寝をすることを提唱しているほどです。
概ね午前中8時か9時くらいからはじめ、1時間作業をして、15分の休憩をとるサイクルを繰り返していきます。午前中いっぱい、あるいは午後1時くらいまで続け、その間に休憩を2回ほど入れています。作業時間が終われば、その後は昼食を摂ってください。50分できっちりと区切る必要はなく、集中力が途切れそうな1時間前後で気分転換をするのがよいです。
執筆モデルの例2:兼業の場合(朝型)
朝起きて食事を済ませて勤めに出たり、自宅勤務をされる方は、それぞれの生活に見合った工夫をして時間を作ることが大切です。
午前5時 起床 ➡ 午前5時30分 ①執筆開始 ➡ 午前7時 朝食 ➡ 午前7時30分 通勤・勤務
午後5時 勤務終業 ➡ 午後6時30分 ②執筆開始 ➡ 午後7時30分 一日の執筆終了 ➡ 夕食・入浴 執筆時間 2時間30分
執筆モデルの例3:兼業の場合(夜型)
朝のうちは仕事に出かける準備などで忙しい方は、日中の仕事を効率よく終えて、定時にあがる習慣をつけたいところです。帰宅して夕食・入浴後に一息入れてから書き始めましょう。できれば、早めに帰宅した後に30分程度でも仮眠をとると、夜の作業効率は各段に高くなります。
特に兼業で書いている方は、これらの例を参考にして、作業の時間と適度な休憩をとりながら、自身にフィットした一日のスタイルを確保してみてください。必ずしも4時間程度を取らなくてはならないということではありません。個人差が当然に出ますので、生活スタイルにあった作業時間を設定して日々積み重ねていってください。
大切なのは毎日執筆する(あるいは、小説のことを考える)時間をつくるということです。毎日の小説思考や書く技術が積み重っていくことで、実力が少しずつついていくものです。毎日2~4時間の時間をかけることができれば理想ですが、日によって時間を割けない用事ができたり、体調を崩してしまったりすることもありますので、一概ではないはずです。
また、通勤時間を利用して、Googleドキュメントでパソコンとスマートフォンを共有させて書くことは時間の効率化につながりますので、ぜひ実践してみてください。小説を普通に書く作業だけではなく、特別に急がなければならないときや、また特に書き上がったあとの推敲作業をするときにはとても有効です。少しでも時間を確保していくために、車内にいる時間を利用して両者を共有して作業できる環境はとても好都合です。
特に朝型の方は、夕食後は書く作業をはしてはいけないということではありませんが、夕食後にはできればリラックスできる時間をとるようにしてください。ベッドに入って読書やYouTubeを視聴したり、あるいはストレッチや瞑想などもおすすめです。睡眠時間は翌日にそなえて最低7時間は確保するようにします。
「今日は300字しか書けなかった」、「30分しか書けなかった」というようなことはよくあることです。そういうときは量や時間をかけることをあまり気にせずに、少しでもよいので毎日続けるようにするのが大切だと関係者の誰もが主張しています。
半蔵自身の平日の一日の作業時間の詳細を示してみます。まず、5時に起床してまず朝食をとります。食事後に6時に仕事の支度をして出かけ、1時間をかけて仕事先の最寄り駅に到着。そして7時すぎから行きつけのCafeで書き始めます。概ね1時間30分の時間が取れますので、朝のスッキリとした爽やかな気分で物語を書くことができています。
そして、定時で仕事を終えてから6時15分くらいから自宅の最寄り駅に戻り、また1時間ほどCafeで書きます。夕方も割とはかどるほうで、これで1日およそ2時間30分くらいの執筆時間になります。
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