文章内を整える推敲~表面上のよくある間違いを修正する三回目の最終視点~

推敲する

次の推敲作業は“ひとつの文章内で不自然な箇所を直す”作業です。

①構成の構築 → ②章間・文章間の整理 → ③個々の文章の成立

“推敲の3段階”の最終段階まで来ました。初めから読み進めて、表面上の目立つ間違い、意味不明な箇所を是正し、一つひとつの文章を完成させる作業になります。小さなミスも逃さない集中力の維持でこの作業を制していきましょう。

文章内の不自然さを修正する

単独の文章、あるいは前後の文章の関係から矛盾や不自然な箇所を修正する作業で、文章を読んで明らかに文の意味が通じなかったり、辻褄の合わない箇所を見直します。

以下、私自身(栗山 丈)の作品『四条河原町ヘテロフォニー1“純情編”』の推敲の例を挙げて解説をします。

1.「てにをは」や漢字の誤用

日本語の助詞に当たる「が」「は」「を」「に」「の」などを置き間違えていることによって、文が成立していないことがよくあります。見逃さずに修正しましょう。

👉例1:

普段文章を書いていれば、それほど書き間違わない「てにをは」ですが、P131の最終行で、違和感のある表記をしていました。

「稜水りょうすい(主人公)の深みのある音色と大胆な技巧的なパフォーマンス」

これは明らかにおかしな部分であるため、

助詞の修正 ●「大胆な技巧的な」➡「大胆で技巧的な」

に修正をした例です。当初書き上げたときの完全なケアレスミスです。

そのほかに、見つかった類似の修正例を挙げておきます。

誤字の修正 ●「力を備えておらず」➡「力を具えておらず」
固有名詞の誤り ●「龍谷大学前深草駅」➡「龍谷大前深草駅」(調査不足による誤表記)
変換で間違えやすいもの ●「ニ」⇔「二」(カタカナと漢字)

少しイレギュラーで次のようなこともありました。

読み間違えやすいもの 「全日空ぜんじつあいている」➡「すべての日程が空いている」(「全日空(ANA)」との混同を避けるため)

2.削除・追記

一般的なものでは、句読点の追記・削除、助詞の追記などが考えられます。

👉例2:

該当の部分は後ろから4行目、

「その後には深呼吸が二、三回繰り返され」

という部分ですが、「には」の二文字がしっくりこないように思われたので、

助詞の削除 「その後に深呼吸が二、三回繰り返され」

と「は」を削除し、読んだときの収まりをすっきりとさせたものです。

👉その他の事例:

脱字の修正 ●「レッスン料に応じて月謝は払うとう」➡「レッスン料に応じて月謝は払うという」
削除 ●「音楽は静かに会場全体に広く伝わった」➡「音楽は静かに会場全体に伝わった」(副詞のくどさをきらって削除)

3.一部または一文全体を書き換える

ニュアンスを変更したいとき、字体・書体の変更、記号の置き換えなどの事例をご紹介します。

👉例3:

後ろから5行目を文章の表現をより文語的に修正するために、

「すべてが謎めいていて、……」

より文学的な表現への修正 ●「すべてが謎に包まれ、…‥」

と神秘的さを感じさせる表現に変更しました。

👉その他の事例:

副詞を別の文言に置き換え ●「外観を記憶に留め、またゆっくりと視察を」➡「外観を記憶に留め、いずれゆっくりと視察を」
カッコ&文言の置き換え ●「「賃貸物権」のボタンをタップ」➡「【物件を見る】」のボタンをタップ(インターネット上のよくある表記に修正)
ニュアンスの変更 ●「重厚な響きは」➡「淡麗な響きは」(人間の内面を豊かにするパワーを秘めている音について書きたかったが、「重厚さ」よりも「淡麗さ」にあると考え方を変えたことによる)

4.不自然な表現を自然な文章に直す

推敲していると、文章の意味が通じにくかったり、適切でない文章を修正することも出てきます。

文言を口語体から文語体へ、類似語ではあるものの意味が通りにくい言葉などが該当します。

👉例4:

4行目の「ちゃんと」は地文ではあまり使わないため、

口語体から文語体へ修正 ●「しっかりと」

に書き換えています。

👉その他の事例:

類似語でも意味不明な表現を修正 ●「身辺に見える」➡「身近に映る」(微妙に意味合いが異なるため、適切な表現に変更)

5.その他

固有名詞にルビを振る、改行、一行空け、「 」をつける、位置の修正など

👉例5:

この小説では邦楽器の名称がよく出てきます。どれもその“読み仮名”が特殊なため、校正の段階で読みにくい楽器名はルビを振ることにしました。

「竹鳴子」については、あまり知られていないこともあり、

ルビを振る ●「竹鳴子たけなるこ」(読み方が特殊なため)

としています。

👉その他の事例:

改行 ●文章のひと段落を終えて、次の展開に入る場合
一行空け ●間を置きたい場合、また話題を変えたり時間の経過を導入する場合
位置の修正 ●文字の詰めや異なる位置にあるものを別の位置に移す

注意点

1.見過ごし

修正のパターンは非限定的で、様々な過ちに気づきます。うっかりして、ミスを見過ごすことがないように気をつける必要があります。集中力には限界もありますので、推敲自体は長時間よりも効率的に行うのがよいでしょう。

2.修正後の確認

この段階の推敲作業がひと通り終わっても、はまだ安心はできません。最後にもう一度、再度総括的な点検は必ず行いましょう。読んでみてそれでもまだ納得いかない箇所や直し忘れているところが出てきます。

3.作業はモチベーションの高いときに

体調の優れないとき、集中力が低下しているときは、本文執筆のミス、推敲上の見落としなどが多くなります。

体調不良や気がのらないときなどは、作業をすることは避けるべきでしょう。そんなときは良い仕事ができるものではありません。日頃から健康管理に十分気をつけておくことは不可欠です。

まとめ

今回は推敲の大詰めを迎える最終段階で、初めから読み進めて意味が通るように整える作業です。主な修正の内容は「てにをはの修正」、「言葉の削除・追記」、「文の書換え・言葉の置き換え」、「意味が通らない文章の修正」、「ルビ・記号・改行・一行空けなどの整理」です。

この作業では、文章上のミスをすべてなくさなければなりません。一度修正を終えたら必ず見返して修正漏れがないことと、作品の流れに不自然なところがないことを確認しましょう。自分で「これで問題ない」と納得のいくところまで行き着けば、そこがこの作業のゴールです。

集中力が求められる作業ですので、長時間続けることも難しくなります。モチベーションを維持しながら、1回の作業を1時間程度に区切り、効率よく進めていくことがポイントになります。また、体調のすぐれないときや、集中することがむずかしいときは避けて、心身の調子のよいときに行いましょう。

これが終われば推敲の作業も大詰めです。今まで時間のかかる過程でしたが、作品の完成は近いので、もうひとがんばりです。

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