効果的な推敲を行うために~ “ 視点 ” に着眼した総論~

推敲する

結末まで本文が書けたら、いよいよ推敲です。推敲とは一旦書いた作品を言葉や表現について見直しを行うことです。繰り返し何度も読み返し、誤字脱字をはじめ、表現の置き換え文章表現の質を高めるために行います。

今回は推敲作業に入る前に、理解しておかなければならないことがありますので、ご紹介します。推敲することにどんな意味があるのか、また、どんなことに注意してに行うのかを総論的に解説します。

推敲する前に知っておきたい3点

一旦、結末まで書き終えても、自分で書いてきた文章が完璧に仕上がっていることはまずありません。しっかりと書いてきたつもりであっも、“てにをは” がきちんと置かれていないとニュアンスが違ったり、辻褄も合わなくなっている箇所もある状態です。

これは一例ですが、推敲の過程で次のようなことを確認し、修正をします。

👉推敲の一例:表記のゆれ:私&わたし、分かる&解る ●誤字脱字:シュミレーション ➡ シミュレーション 、保障&補償&保証 、よろしくお願いいします ➡ よろしくお願いいします ●論理的な矛盾:「いかなる例外を認めることはできない、という例外を設ける」、「彼は絶対に笑わない人間だと言われていたが、その場では顔はにやけていた」 etc.
「推敲とは何か」、「作業内容」に併せて理解しておきたい事項は次の3点です。

1.作品の表現を豊かにする過程

本文を見直していく段階で、辞典の使用や相応しい表現に気づくことによって、より豊な表現に見直します。文章を洗練させたり磨き上げることができます。

作品の成立のプロセスでは欠かすことのできない重要なステップですので、気を抜かずに作品を読み込んでいきましょう。

👉文章を見直した一例:「彼は人ごみの中を走り去った」➡「彼は人ごみをかき分けて颯爽と走り抜けた」、「雨がだいぶ小降りになった」➡「すがすがしい晴れ間の気配が漂うほどに、雨脚が弱まった」

よりフィットした表現に遭遇したときの満足感はとても格別なものです。私は深い表現にたどり着いた時の喜びを充分に楽しみ、味わうようにしています。

2.間隔を置いて行う

一般に、書き上げて間もない文章をすぐに推敲するべきではないと言われています。私の経験では、書いたときの感情や感覚が、その本文を書いた記憶が鮮明な状態であれば、推敲作業も同じ感覚で行われています。

同じ感覚ですぐに推敲に入ると、さっき書いた文章の誤りに気付きにくくなるという状況が起こるのです。このような場合は、時間を置いて書いた当時の感覚が抜けたときに、推敲するのがよいと一般的に考えられています。

推敲は書き終えてすぐに取りかからずに、1日以上置いてから行う

少なくとも一日程度の時間を置くと、以前の感覚とは違った視点を持つことができます。感情が変われば視点も変わりますので、文面の意外な箇所にまで眼が行き届くようになります。

3.短期間で終わらせない

推敲は短い時間で終わらす類のものではありません。何度も何度も本文を読み直し、文法的な誤り、気に入らない表現を修正していくものです。自分の正しいと思う内容に修正することはそれなりの注意力、判断力がともなうため時間を要するものです。

推敲は作品に磨きをかける作業であり、時間をかけて慎重に向き合う
半蔵
半蔵

あわてて済ませてあとで出版の段階になってから、決定的な間違いが見つかることこそ悔しいことはありません。じっくりと集中して取りかかってください。

推敲作業の視点

読みやすさや説得力を高めるために、文章を客観的な立場から見直す切り口で推敲に臨みましょう。その視点は1点だけではありません。「構成」や「論理展開」、「表現」などの目的に応じて視点を切り替え、見直し作業を繰り返します。

推敲のポイントには大局的に次のような作業が伴いますので、まず推敲に取り掛かる視点について一定の理解を深めましょう。

1.全体から見た視点で考える

最初は作品全体像を俯瞰して見た視点です。 次のポイントを頭に入れて推敲を始めると全体の構造が整理しやすくなります。

●導入部または結論の明確さ: 読み手に伝えたいメッセージが作品内がはっきりと示されていること(最初でも結論でも示される場所は自由)

●論理の破綻: テーマとタイトル、章の見出しなどと、全体にわたって内容に矛盾がないこと

●情報の過不足: 伝えようと思っていた情報が過不足なく網羅されていること

半蔵
半蔵

ストーリーの流れに逆らうようなズレが生じていると、誰が読んでも違和感が生じてきます。作品はおろか作家に対しても不信感を招かれてしまいますので、これは絶対に注意しなければならない点です。

2.部分的・個々に焦点を当てた視点で考える(一文章・段落単位)

「てにをは」誤字脱字の修正などのほか、一文単位で焦点を当てて、文章間の繋がりや、表現の正確さをチェックする作業です。
●一文の長さの調整: 長すぎて二つ以上の意味からなる組み合わせの文章、またはねじれが生じている文は分割させる

●冗長な表現の是正: 同じ語句や意味の重複が施された言葉、無駄な修飾語は削る

●表記のゆれの確認: 同義語(「私」「わたし」、「出来る」「できる」、数字の全角・半角など)、その他に専門用語の使い方を統一する

私は専門用語の「スマートフォン」と「スマホ」、「パソコン」と「PC」、「ライン」と「LINE」など、無意識に混在させてしまうほうですが、推敲の段階でどちらかに必ず統一をして修正しています。

3.読者から見た視点に立つ

「自分が伝えたいこと」から離れ、初めてその文章を読む人の立場に立つ視点も重要です。自分の気付きそうもない不注意に気付いたときはラッキーです。それは必ず修正すべきところです。
●読者の疑問解消: 読者が途中で「どうして?」と迷わない出口をつくることに配慮する
●専門用語の配慮: 難しい言葉や略語が読者の耳慣れないままになっていないようにする ➡︎ ※注記で解説をつけるなどの工夫をする
●リズム感の付与 音読したときに、自然で心地よいテンポで読める読み心地をつくる
私はどのようなケースにおいても「読者の視点」に視野を広げることで、本文で自己満足に浸った一方向な先入観から脱却することができました。今ではこの考え方をとても大切にして、執筆を重ねています。

推敲と校正の違いは……

推敲は執筆した作者が自らが文章上の誤りを修正し、読みやすさなどの観点から作品の質を高めるための作業です。そして校正は出版の段階で、出版社の編集者が第三者の視点として加わり、誤字脱字・表記ゆれなどのチェックを行うものです。

*校正は作者の思想の根本を改めるような編集者の助言などが入ることがあります。

「推敲と校正は何が違うのか」は、外見は自身で行うか、編集者が介入するかの違いですが、、見直しの掘り下げ方が変わってきます。後者のほうがより広い視点で作品を豊かなものに仕上げることができます。

それぞれの作業のしかたは混同させずに整理しておきましょう。

まとめ

「推敲とは何か」を知らずにいきなり始めるのではなく、推敲作業で修正すべき項目、視点を理解したうえで始めるべきです。

推敲の目的は作品を豊かに質のよい内容に仕上げていくものですし、そう作業も慌てて行わずに、一定の時間を置いてじっくりと行うこととされています。

また、作品全体から部分的な観点まで、視点を自在に変えて見直すことが大切です。

自分だけの視野で推敲していると、どうしても気づきにくいところが出てきます。読者の視点に立った読みやすさ、理解のしやすい作品に仕上げる心構えを併せて持つようにしましょう。

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