小説家はおおよそ自分の執筆場所を決めて書いていることが多いです。最も落ち着く環境を選ぶのが普通ですが、実はその身の回りの一定の配慮をすることで、集中できたり、効率性が上がったりします。ここでは、その作業する場の環境について、場所と執筆に向いた椅子、BGMの三つの視点からお伝えします。
執筆に使う場所
小説家は日頃、どこで執筆しているのでしょうか? 小説家が利用している場所を次に示してみます。
小説家が使っている執筆場所 ベスト5
1位 自室
2位 自宅のリビング
3位 自宅の専用執筆部屋
4位 スターバックスなどのCafeと自宅の併用
5位 レストラン等のイートインスペース
やはり、一番多いのは自宅の自室で机に向かう人のようです。あとは、自宅のリビングを使っている方も意外に多く、執筆部屋を確保してしている人もありますね。自宅で周囲に左右されずに落ち着いた環境を好んだ結果です。また、Cafeを執筆の場にする人もいますが、専用スペースとして使うというよりも、自宅と併用して使っているケースが見られます。
Cafeでお奨めはここにも挙がっているスターバックスのほか、サンマルク・カフェ、ドトール、カフェ・ベローチェ、タリーズコーヒー、ベックスなどがあります。それぞれイートインできるスペース内は明るさなどで、利用客が落ち着く工夫がなされています。Cafeに限らず、飲食店のイートインできる場所も利用できると思います。最近では店舗によって、一部の箇所で電源を利用できるサービスがありますので、パソコンで作業するのにはとても好都合になっています。
一日の生活で、家にいたり、仕事や出かけなくてはならない場合もあると思いますので、上記のような執筆場所を使って、効率よく小説が書けるようにしていきたいものです。
執筆に向いた椅子
知っていただきたいこととして、家で落ち着いた環境で書く場合や、また、どこか空調のきいたCafeなどで書きたいという場合を含めて、椅子に座って机で作業する環境に意外と執筆の影響が出ることがあります。
例えば、次のような二つのケースがあったとしましょう。
山本さんはひとりでCafe A へ入って行って、ハンバーガーのセットを注文して、これからパソコンで執筆する予定だったとしましょう。二人掛けのテーブルの席を確保して木製の椅子に腰掛け、ハンバーガーをほおばります。しっかり食事をしてからコーヒーをすすりながら、落ち着いた気持ちでパソコンに向かいました。
ところがです。アイデアはノートに書き溜めてプロットまで練ったのに、気分があまり乗らず300字程度しか書き進められませんでした。「今日はダメだった」としょんぼりと自宅へ帰ってきました。
【例2】
そして、その翌日、こんどは山本さんは別のCafe Bで壁沿いのソファー席に座って、ゆったりとした気持ちでコーヒーを飲みながら執筆を始めました。その後、効率よくアイデアがまとまって、おおまかな全体のストーリーがつかめ、プロットづくりがはかどりました。
随分はずみがつき、自信が持てたような気がして「よし、明日もがんばるぞ」とワクワク感が抑えきれませんでした。
上記の二つの例は、なぜこのように両者を二分する結果になってしまったのでしょうか?ーーーーもうお分かりですよね。座った場所がそれぞれ執筆の進捗を左右させたことになってしまったわけです。
【例1】では木製の硬い椅子に座って、ずっと執筆していました。同じ体制で長時間座っているとどうなってくるかというと、次第にお尻がしびれて痛くなってきます。一方、【例2】のほうはふんわりと座り心地のよいソファー席。
仕事をするときは、スッキリとした気分でできれば効率性はアップします。【例1】では長時間硬い椅子に座ってお尻が痛くなってくれば、当然に執筆作業に影響を及ぼします。ですので結論を言えば、
座ってみて心地のよい椅子で執筆をする
ということです。机について言えば、あまり腰高すぎたり、低すぎてもよくありません。自宅で執筆をされる場合には、すでに設置された椅子が座り慣れていることと思いますが、新しく新調する場合などは、背もたれがあるもので、椅子の高さが机の高さと調整できるものがよいと思います。自分にフィットする椅子を選ぶようにしましょう。
明治から昭和にかけての小説家の書斎
明治・大正時代の書斎
今の時代とは違った明治から昭和の時代にかけて多く使用されていた文机の書斎をご紹介します。現代では文机を使う人は時代の流れからみてもとても少ないとは思うのですが、東京都新宿区立漱石山房記念館では、漱石の書斎を再現して展示しています。当時、ペルシャ絨毯の敷かれた部屋に、壁伝いに本棚を置き、そこに収まらない本は本棚の前に大量の平積みの本が並べられていたそうです。その中央に割と小さ目の文机置き、座布団に座りながら、右横に大きな火鉢を置いて執筆をしていました。明治の時代を感じさせる趣深い書斎です。
下記リンク先、漱石山房記念館のホームページ、メニュー欄「展示室→再現展示[1階](有料)」から写真でご確認いただけます。
昭和の書斎
こちらのリンク先のトップページからご覧いただけるのは推理作家松本清張の書斎です。北九州市内にある松本清張記念館に展示された書斎で、背もたれのしっかりとした椅子に、机の上には原稿台のようなものが置いてあります。そのすぐ上には明るい環境で執筆できるように、蛍光灯が設置してあるのがわかります。こうした配慮はとても大切で、目に優しく疲れにくい工夫となっています。
大きな書庫も持っていて、2万3千冊の資料を保存して常に参考資料としていたようです。
BGMについて
小説家のなかには自分の好みのBGMを流しながら、執筆作業をする方もいます。これによって、作業効率がアップする場合もありますが、創作の邪魔にならない程度のボリュームで聴くのがちょうどよいくらいです。
ジャンルを制限するものではありませんが、ボリュームを上げてのガンガンと鳴り響く環境(イヤホン使用を含む)ですと、創作に集中できなくなる可能性がでてきます。執筆の進捗が阻害されてしまうことがないように注意することが必要です。BGMがかかると集中できない方は、周りの音をシャットアウトできる環境で執筆していきましょう。
次に半蔵自身がおすすめするBGMをご紹介します。
おすすめするBGM ベスト5
1位 『【13時間BGM】13時間カフェMUSIC ジャズ&ボサノバ』(クリエイター:Cafe Music BGM channel)
2位 『シティポップサウンドBGMスペシャルミックス【仕事・勉強用】レストランBGM、
ラウンドミュージック、ショップBGM』(クリエイター:ハートフル カフェ ミュージック)
3位 『俺にフュージョンでおすすめの曲を教えるべき』(クリエーター:はるのくつしたん)
4位 『大河ドラマ歴代op曲集~2020年まで』(クリエイター:match hbc)
5位 『バッハ名曲12選 Ⅴol.1 クラシック名曲シリーズ』
『バッハ名曲12選 Ⅴol.2 クラシック名曲シリーズ』(クリエイター:Nature & Music)
上位3つのアルバムは普通に落ち着いた状態で執筆しているときに聴いてみるのがいいと思いますし、『大河ドラマ曲集』は音楽的な感動を覚えます。また、バッハは執筆して疲れたときの癒しの曲集として聴いてみてください。
良く聴くBGMのなかでアイデアを捻出するときには、静かな曲をかけていることもありますし、逆に執筆がどんどんはかどるときには、リズミックな曲を聴くのが効果的だと思っています。半蔵はクラシック音楽の出身なため、聴くのはほとんどクラシックが中心です。特にBGMがないと書けないこともなく、何もBGMかけないで執筆することもよくあります。
その他 机の上には何を置く?
執筆するときは、机の上の作業環境を良好にしておきましょう。不要な物は置かずに執筆に必要な機器、資料のほか、自分が気分転換できる程度のものだけにしておきます。日頃から、机の整理や片付けはしておくのが好ましいと思います。
【執筆のときに机上に用意する物】
●ノートパソコン : 机では基本、パソコンで執筆する
●スマートフォン : BGMを流したり、簡易な調べものにも使える
●執筆に必要な資料 : 取材した関係資料やあらかじめ調査しておいた資料
●辞書類 : 国語、英和・和英、類語、四字熟語などの辞典類
●飲物・少量のお菓子: 飲物はコーヒーなどを飲みたいときに。また、甘いお菓子など
●その他 : 気分転換になるようなもの
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