小説家の心構え~書き手として意識することと小説ジャンルの決定~

小説を書き始める前に

この記事では、初めて小説を書きたいと思っている方々のために小説家が心得ておくべきことと、小説ジャンルについてお伝えしたいと思います。

あなたはなぜ小説を書きたいと思われましたか?  自身の創作・表現した作品を多くの方に読んでもらいたいからでしょうか?  あるいは作家という職業にあこがれていて印税生活をしたいからという方もいらっしゃるかもしれませんね。

小説家もただ伝えたいことを伝えるだけでは、なかなか読んでもらえることはありません。しっかりとしたポリシーと信条を養いながら、本ブログ全体を通じて小説家としての礎を築いていきましょう。

小説を書く意味を意識した“小説家の心構え”

まず、次のようになぜ人は小説を読むのかを考えてみましょう。

1.人が小説を読む理由

一般に書かれた小説は、読者はどのような想いで読むのでしょうか? 様々なケースが考えられます。

●物語を読むことがとにかく好き。

●おもしろくないことがあったので、読書でもして気をまぎらせたい。早く忘れたい。

●自分の好きなジャンルの物語を読んで楽しみたい。

●人生に行き詰まりを感じて、どうしていいのか悩んでいる。悩みを解決して一発逆転を狙いたい。何か新しい生き方を教えてくれる小説はないものか? 等々……

このように必ず読みたい理由があって、そのページを紐解こうとしているわけです。つまり、書き手側から見ると、何かを知りたくてページを開く人を勇気づけたり、人生のどん底を感じている人を救ったり……ということが小説の大きな役割としてあるわけです。

2.小説家の仕事とは?

小説家にあこがれたり、外見だけで判断して作家と称するのは簡単です。大切なのは、小説家の仕事の本質をしっかりと理解することになります。

かつての文豪、川端康成氏は自著で次のようなことを述べています。

「文藝というものは、本質的には作者の側と読者の側の等分な、真の発見への意志を持っていなくては成り立たない」

「初めから作家というものをいいものだと思ったり、文学者になるために上手な小説を書きたいと思ったりすることから始まる文学修業は、本当のものとは言われまい。たとえそういう念願から出発した作家修行であっても、その人が本当に作家として一家をなすには、上手になることよりも、生活して本当の苦悩に直面する勇気を持つということが第一の資格であろう」

川端康成 『小説の研究』から

はじめの文章では、作者が書きたいこと書いて伝えたいことを伝えるだけで終わってしまうと、まさに小説の役割が果されていないことになります。ようするに、自己満足だけで終わってしまうと、誰も読んでくれない悲惨な結果を生むことが多いのです。

このことを踏まえると、読者の人生の救いとなるような「読んでよかった。励まされた」というレビューをもらえる小説を書く意識がとても大切なのです。

では、二番目の文章はどうでしょうか?  小説家も「過去の人生経験が非常にものを言う」ということが言えます。あこがれだけで小説を書いても、余程の評価を得ない限り、いいものは生まれ出るものではありません。

私は過去の人生経験を活かして、自身の得意なこと、言葉の表現の独自性などを前面に出していくことが大切な要素となってくると考えています。

以上の重要な点を書く前の意識として頭の隅っこに、……というよりも潜在意識のなかに擦り込まれるまでになると、心構えとして素晴らしいものになります。今後の創作活動にかなり期待が持てると言えるでしょう。

「なんだか、いきなりハードルの高い話だな……」って、思われた方もいらっしゃるかもしれませんね。これがわかってくると、実はこの後が楽になります。作家として立つ土台の構築ができあがりますので、しっかりとした小説家としての基盤づくりをしておけば後々は自由な活動ができます。

小説のアイデアを膨らませるために

これから小説を書く作業に入っていくうえで、具体的にイメージを描いていくことになりますが、物語を考えたり書き進める途中で、湧き上がった多くのアイデアを記録しておく必要があります。次のどちらかを使用するとよいでしょう。

1.創作ノートを用意しよう

作業をしていない時にも実はアイデアを思いつく時があります。そんな時には一冊の創作用のノートを用意しておくことをお勧めします。何かアイデアを思いついた時には、そのノートを取り出して記録します。記録をしないものは大体が忘れてしまいます。思いついた段階で記録しておくことが先決です。

2.スマートフォンのメモ機能を活用しよう

外を歩いていたり、他の環境に置かれている時間に、ノートにメモする余裕がなかったりするものです。そんな時には、スマホのメモにササッと記録しておいて、あとで確認するようにしましょう。

半蔵
半蔵

アイデアの記録はスマホのメモ機能でもA5サイズ程度の紙のノートでもどちらでも構いません。ちなみに私は両者とも使用しています。デスク上で書く準備や執筆をしている時は、紙のノートに直接メモするのが便利ですね。見返すのも楽だと思います。

アイデアを思いついた時には、必ず記録しておく

いつでもどこでも記録する習慣をつけておくことはとても大切です。「あとでメモすればいいや」と思っていると、その記憶は脳内で短期記憶に分類されてしまい、時間が経つにつれて必ずと言っていいくらいそのアイデアは思い出せなくなります。それが自分のお気に入りの抜群のアイデアだった時は、あとで後悔してしまいます。私も何度も泣きをみたことか……

「その場で記録する」ことは、創作を発展させるうえでとても有効な手段となりますので、面倒がらずに行うようにしましょう。

どんなジャンルが自分に適しているのかを探す

あなたはこれからどのような小説を書こうと思っているか決めていますか? それとも、その入口どうしようか迷っていらっしゃるのでしょうか? もし、書きたいジャンルの方向性が大筋で決まっているのであれば、この部分は先に進んでいただいて構いません。

書きたいと思う小説って、すでにどんなイメージをお持ちでしょうか? すべてのジャンルを書ける間口の広い人ってなかなかいませんから、やはり自分の性格にあったジャンルで小説を書くべきです。

芸術性の高い純文学をめざしたい人が、無理して大衆文学の探偵ものを書いても、いいものが完成するとは考えにくいですし、空想科学小説を小さい時から読むのが好きな方が、いきなり何も知らない歴史小説を書こうとしても関心がないのなら書けるものでもありません。

まずは、自分で得意であったり興味のあるジャンルを見つけ、これからそれをずっと書いていくんだという意識を持つようにしましょう。あせる必要はありません。恐らく、どう決めるかは個人でいろいろな判断があると思います。この先の大きく左右する話になりますので、納得のいくまで考えてみてください。

今まで歩まれてこられた人生経験や一定の専門知識などをお持ちで、何をどのように表現したいかが、ご自身の頭の中にかすかに想いがあるようでしたらしめたものです。

では、ジャンルとして確立されているものを次に挙げてみましょう。

1.推理小説(ミステリーを含む)

主として犯罪に関係する秘密が、論理的に解明されていく過程に主眼を置かれた小説(コトバンク:デジタル大辞泉)

2.SF小説(Science Fiction)

科学的知識をもとにした、空想的な筋立ての小説。科学小説。空想科学小説(コトバンク:精選版日本語大辞典)

3.歴史小説

歴史上の事件・人物・風俗など、史実を素材として構成された小説(コトバンク:精選版日本語大辞典)

4.青春小説

中学生や高校生、大学生をメインの登場人物として、恋愛・友情・将来への葛藤などといった若い頃に経験する出来事や経験にフォーカスした小説(アミューズメントメディア総合学院:小説家業界情報局)

5.恋愛小説

男女間の恋愛を主題とした小説(コトバンク:精選版日本語大辞典)

6.ライトノベル

10代から20代の読者を想定した、娯楽性の高い小説(コトバンク:デジタル大辞泉)

7.児童文学

児童を読者対象とした文学の総称。童話・少年少女小説・童謡・児童劇など(コトバンク:デジタル大辞泉)

8.ショートショート

ユーモアやサスペンスを生かした落ちをつける、きわめて短い小説。空想科学小説(SF)や推理小説に属するものが多い(コトバンク:精選版日本語大辞典)

たとえば、子供の頃から、サッカーを続けていて得意であれば、それをモチーフにして物語を拡げていきます。株に詳しいのなら、証券会社を舞台にした悪戦苦闘のストーリーを描いたり、ユーモアを活かしたければショートショートに挑戦するのもよいでしょう。

当然に、かつて経験したこと、持ち合わせた詳しい知識を書くことは、相当にあなたの強みになりますので、得意なことがあるのであれば、ぜひ活用することをお勧めします。

一つの分野の知識が豊富であるということは、奥の深い本質的なお話を書くことができるはずです。あなたのよいところが遺憾なく発揮できると思いますので、自分にぴったりのジャンルとして、あとは純文学なのか大衆文学でいくのかを決めてから書き始めてみてください。

半蔵
半蔵

私は若い頃から、ヴァイオリンを学び始め、後にチェロに転向するとともに作曲を学び、その後はクラシック作曲家として、作品を多く発表してきました。その結果、音楽界の事情もわかってきたので、言葉でも音楽の素晴らしさを伝えたい想いが募ってきたのです。

クラシック音楽好きの方や業界の方々の知りたいことなどを物語にすることにし、ジャンル・テーマを音楽に特化して書くようになりました。読み手と書き手の双方に新たな発見ができるように配慮して書いています。

小説を執筆する流れ

ひとつの小説を書き上げるまでには、いくつかの過程を経ることになります。ここではリンク先を貼っておきますので、そちらの記事をご参照ください。

1.主人公、他の登場人物、舞台環境等の設定

次の記事で詳細を解説していますので、ぜひ参考にして作業を進めてください。

初心者でもできる!読者が共感する主人公と脇役の創り方7ステップ  

2.どの人称で書くのか

“人称の区別による作家の立場”と併せて次の記事で解説しています。

物語の文章の統一感を高める方法~主題の提示法と作家の立場による整合性~

3.プロットを組み立てる

この段階の作業は多岐にわたりますので、以下の記事に基本事項から完成させるまで順を追ってまとめてあります。

小説のプロットを作成する意味とタイプを紹介~構成をブレなく効率的に~

初心者でもできる!読者が共感する主人公と脇役の創り方7ステップ  

物語の構成をマスターしよう~初心者でも分かる章立ての基本~

プロットでの状況とせりふの設定方法~物語の目的とキャラクターの心理を生かした表現~

プロットづくりにおける伏線の盛り込み方~要点を絞った最大の効果~

プロットを最後まで完成させよう~完成させるコツと完成版の公開~

小説のプロットで筆が止まったときに試してほしいこと~創作の「迷い道」を抜け出す7つのヒント~

4.執筆作業

この作業は多くの時間を費やすことになります。次の記事を読んで自分なりのスタイルを形成してみてください。

プロ作家志望の私が実践した「プロット完成後に迷わず本文を書き切るコツと体験談」

読者の心をつかむ小説の良い書き出しとは?~冒頭から読み手を引き込むテクニック~

小説の世界を深める「サイドストーリー活用術」~主筋を照らす脇筋の構成テクニック~

地文とせりふを調和させる創作技法~ジャンル別の実践戦略~

【創作表現アップ】比喩を自由に操る技術と発想力の鍛え方

読者を魅了する小説づくりの秘訣~テーマ仕掛けから文体表現まで徹底解説~

あなたの何気ない日常が唯一無二の物語になる!小説執筆ワーク完全ガイド~体験談・お悩み解決Q&A~

あなたの世界観を物語に沁み込ませる方法~読者の心を掴む“思想と表現”の磨き方~

小説を“自分の作品”として価値を高める文章術~調和のとれた文章を仕上げるために~

【小説家の実践メモ】読者が「考えずに物語に没入できる」わかりやすい文章の書き方ガイド

小説文章の表現の強め方とすっきりさせるテクニック~読みやすい小説文章術~

物語の文章の統一感を高める方法~主題の提示法と作家の立場による整合性~

文章の上達に欠かせない大切な行動~積み重ねるべき三つのステップ~

5.推敲する

最後まで書いたら、推敲をしなくてはなりません。初めから読み直して、文脈、誤字、てにおは、表現などを修正していきます。

最低でも3回は推敲をするべきで、時間があればそれ以上するようにしてください。推敲のポイントはまた別の記事で解説します。

6.完成 小説を書き終えたら

ようやく、苦心の末に書き上げた作品。そのまま放置していても、何の意味もなしませんので、他の人に読んでもらえる環境を作りましょう。

●家族や恋人、友人など、身近な人に読んでもらって、感想を聞かせてもらう。

●自分のSNSに投稿して、多くの人の目に触れるようにする。

●今は小説投稿サイトがインターネット上で充実しているため、アカウントを作って投稿する。

人に読んでもらって意見をもらうのって、結構恥ずかしい思いをしますが、ここは「恥も外聞もない」精神で積極的に人に読んでもらうほうが自身の力になります。人の意見は自分の気づかないことを言ってくれますから、結構、意識して聞き入れると血になり力となって実力につながります。

まとめ

なぜ、あなたは小説を書くのか、そしてどんな小説を書くのかを認識せずにいきなり書き進めるのではなく、「何を表現したいのか」という土台になる考え方を明確にしておくことです。

そのうえで、書きたいジャンルを決め、基本的な書き方の流れに沿って執筆を進めてみてください。ある程度書き始めていくと、自分なりの執筆のスタイルが少しずつわかってくると思います。少し、原則論から離れた手法をとることも出てくるかもしれません。

小説の書き方には基本的なルールのほかは決まった書き方はありません。小説家は自分のスタイルで自由に書いています。慣れてくれば自分のスタイルは自然と確立できることと思います。

上記の基本則がひととおり理解できましたらひと休憩して、しばらく気分転換でもしてから次の必要な項目にお進みください。少しずつ前進していますので、皆さんの「書きたいけど、何をかけばいいいのか?」がこれから少しでも解消されていくことを願っています。

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